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島根大学農林生産学科森林学コースのページです

人工林は間伐が大事です!

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間伐の基準って何だろう?

 私は奈良県の吉野林業地に始めて行った時に、美しいスギ・ヒノキの人工林と間伐選木の熟練技術者だった垤忠一さんに出会いました。垤さんに「間伐選木の基準って何ですか?」と尋ねたのですが、「長年の経験と勘ですなぁ~。」と言われました。しかし、何かを見て伐る木と伐らない木を選んでいるに違いないし、その言葉にされていない
基準を知りたい! と思ったのが、私の研究の原点です。

 

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吉野林業地の90年生スギ人工林と熟練技術者

 

何を調べたら間伐の基準が分かるのだろう?

 間伐の選木基準を明らかにするには、どこで何を見ているか、どうしてその木を伐る/残すのかを聞いてみないとわかりません。そこで、山の中で500本くらいの木の位置図を書いて、選木の時の歩く経路と木を伐る/ 残す理由を調べ、垤さん基準で管理されている人工林がどのような特徴を持っているのかを調べました。その結果、垤さんは残す木を選び不要な木を伐っていること、将来欲しい形質と大きさの木になる見込みを樹冠(葉っぱがついている部分)から判断し、見込みのある木をできるだけ均等に配置していること、木が大きくなるほど大きな面積を取れるように人工林全体の木の本数を調整していることがわかりました。

 

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熟練技術者による間伐の特徴

熟練技術者の技能を少しでもまねできるようにしたい!

 間伐選木の基準は、技術者個人の技能です。しかし例えば、樹冠の大きさを判断基準として数値で表すことができれば、誰でもある程度はまねができるようになります。熟練技術者は現在、高齢化が進んでおり、後継者は非常に少なくなっています。貴重な技術が消える前に、少しでもまねできるようにしたいと思っています。そのためには研究も引き継いでくれる後継者が必要です。みなさんも一緒に山の管理の研究をしてみませんか?