森林学コースのページ

島根大学農林生産学科森林学コースのページです

鷹の目線から森を観るリモートセンシング

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米 康充 准教授

森林を観るのは大変!

 研究のきっかけは、森林がどのように成長してどのように変化していくのか知りたかったことです。そこで森林調査を始めたのですが、1 本1 本の木を測っていても、途方もなく広がる森林を調査しつくすことはできませんでした。しかも、坂が急で登ったり降りたりで調査も大変でした。それだけ苦労をしても、現在のことしかわかりません。森林の変化を調べようとしたら、何十年と同じことを繰り返さないといけません。森林は時間と空間に大きく広がっています。こんなことでは森林の変化なんて解明しようと思ったら、とてつもない時間と労力がかかります。はたと、どうしたらよいものかと途方に暮れました……。

そうだ、リモートセンシングを使おう!

 そこで利用したのが航空写真でした。航空写真は日本全国で手に入ります。しかも日本では1947年から数年毎のデータが撮られています。そこに目をつけ、学生の頃は一生懸命航空写真を目で見て読み解き、地図に書き写してきたものです。それでもやっと数十ha のことがわかった程度でした。大学卒業後は測量会社や研究所に務め、森林計測の研究開発に携わりました。航空写真だけでなく、レーザ測量や人工衛星といった道具を用いて時空間に広大に広がる森林を観察する方法を作りだし手に入れました。

 

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ドローンと地上写真で作成した森林3Dモデル

森林は広大である、そこを突き進む

 現状の森林でさえその実態はどうであるのか、わかっているようでまだわかっていない部分が多い状況です。調べる森林の空間・時間の広がりに応じて、衛星、航空写真、レーザ測量、ドローン、地上レーザの利用技術の開発をし、森林の実態を明らかにしていく研究を行っています。とは言え、 1 本1 本の木を測っていくのも重要です。野外活動も好き、機械いじりも好きな諸君に期待しています。

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森林調査のためドローンを操縦する研究室学生
鷹は来ないが鳶につきまとわれる。